3月になると移動性高気圧と低気圧の影響を短い周期で交互に受け寒暖を繰り返す気候になりますが、徐々に気温が上昇していきます。そんな時季、やんばるの森は春の装いへと変わって行きます。
森の見渡せる場所に立ち、森を眺めてみました。樹冠のあちこちが、鮮やかな黄緑色となっているのが目に付きます。4月が近づくにつれ、森は一段と鮮やかになって行きます。森の色は日に日に移り変わり、鮮烈な色に萌えるのです。
樹種によって、新緑の色も微妙に異なっています。森が多くの樹種で構成されていることを実感できる光景です。
春のさわやかな風が吹き渡ると、木々の葉が揺れ、森がざわめきます。春の日差しを浴びた森の新緑がきらきらと輝き、とても美しい感じられます。森に入るとスタジイなどの花の匂いが漂っています。森の中を歩き、あちこちに季節の移り変わりを見つけるたび嬉しくなります。最も心弾む季節です。この時季を指す「うりずん」という言葉があります。旧暦2,3月の頃を指すようです。潤い初めに由来するそうです。うりずんは、森の生命力が感じられ、最も美しく見える時季なのです。
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うりずんの時季から梅雨の時季にかけて、雨が多い季節である。5月、沖縄は梅雨に入る。全国一早い梅雨入りである。台風シーズンと並んで、一年間で最も降水量が多い季節である。森は霧に包まれ、雨に打たれる。森に降り注ぐ雨は、木の枝葉から幹を伝わり、森を潤す。水に濡れた木々の葉は美しい。霧に包まれた朝の森は、幻想的でさえある。
この時季は鳥たちの繁殖期でもある。霧の森にヤンバルクイナやノグチゲラ、ホントウアカヒゲ達のにぎやかな声がこだまする。雨の中、親鳥たちはせっせと子育てを行う。雨が降っても、サボってはいられない。梅雨が終わると、 沖縄はギラギラとした太陽が照りつける夏を迎える。
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本土の春ほどドラスティックではないが、やんばるの森にも春がある。3月ともなると森の木々が新芽を芽吹き、常緑の森も淡く優しい緑が揺れる。
森の木々は、それぞれ思い思いの形や色の葉をのばしている。朝の柔らかい光を受け、新芽が優しく透き通るような優しい輝きを見せていた。新緑らしい淡い緑もあれば、赤みががったものもある。その形や色が面白く見飽きることがない。
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森に入る前の一時を夕日を眺めながら過ごす。太陽が西に傾き、夜が迫ってくる。周囲を金色に輝かせながら、太陽は西へ沈んでいった。昼と夜が出会うこの時は、美しい時間帯である。光は色を変えながら消えて行き、あたりを闇が包んでくる。昼間を名残惜しむように、海や雲が最後の輝きを放つ。傾いていく光に、伊平屋島と伊是名島の島影、本部半島の稜線が浮かび上がっていた。
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月の明かりが森を照らす夜、森は幻想的な姿となる。静かな光に照らし出され、色のない森が浮かび上がる。ヒカゲヘゴやイタジイといった亜熱帯の木々が浮かび上がる。樹冠をすり抜けた光が森の中まで差し込み、得も言われぬ光景となる。その光に神々しいものさえ感じてしまう。
日の出前、月の明かりは消えていき、空と海が一体となったブルーの世界に包まれる。やがてあたりは色を取り戻していった。
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12月のやんばる、雨上がりの森を歩く。樹冠から落ちてくる雨のしずくに濡れると、沖縄といえども少し寒い。それでも乾いていた森が雨に潤い、森が生命力を取り戻したように生き生きと感じられる。苔についた水滴、倒木に生えるキノコ、葉先からしたたる水滴、赤い実が色鮮やかなアオノクマタケラン。雲の間から日が差すと、雫がきらきらと輝いていた。
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空が明るくなってくると、夜の動物たちが静になって行く。入れ替わりで鳥たちのさえずりが始まり、やんばるの森が朝を迎える。日の出直前、空が青く染まるブルーアワー。そして青から赤へ、グラデーションが美しい。ホントウアカヒゲやヤンバルクイナがあちこちで鳴いている。やがて真っ赤な太陽が東の空に昇ってきた。
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森を歩いていると、実を付けた植物に出会うことがある。赤、紫、青、黄色、白、様々な色の果実を実らせている。森の中で出会う果実は、まるで宝石のような輝きがある。
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森の谷は、渓流となっている。森が貯めた水は、決して枯れる事が無い。イシカワガエル、ハナサキガエルなど、やんばるの森に生息する多くの動植物を支えている。
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*下の山原の音で、渓流の水が流れる音を聞くことができます。清々しい気持ちになれるかと思います。
年月を重ねた木々が枝を広げ、やんばるの森を作っている。時には自らが、他の植物が生える土台となっている。大木は、積み重なった時間を感じさせてくれる。
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