やんばるの森は、ブナ科のイタジイが優占する常緑の照葉樹林です。
亜熱帯の沖縄は温暖な気候です。年平均気温は、那覇市での観測結果で23℃を超えています
。左の折れ線グラフは、国頭村奥の気象観測データ日平均気温 を基に作成したものです。最も平均気温が低いのは、12月、1月から2月頃です。一番寒い時季でも、平均気温が15℃程度あります。最も暑いのは7月、8月頃ですが、この時季の平均気温は27℃弱です。年間を通して寒暖差が小さく、過ごしやすい気候です。 雨量を国頭村奥の気象観測データ
このような温暖で雨の多い亜熱帯気候の山地に、ブナ科のイタジイ(スダジイ)が優先する照葉樹林が広がっており、まさに”山原”と呼ぶにふさわしい景観となっています。
第58回沖縄県統計年鑑 平成27年版による
気象庁国頭村奥の統計資料による
やんばるの森は、ブナ科のイタジイが優先する常緑の照葉樹林が代表的な森です。このイタジイの森が、ノグチゲラやイシカワガエルといった貴重な動物たちを育んでいます。イタジイは、スダジイが正式な和名ですが、このサイトでは沖縄で一般的に使われているイタジイを使っています。
イタジイは、木の高さ約20m、幹の直径1mに達する常緑の広葉樹です。丸みがある大きな樹冠をつくります。実(ドングリ)は長さ13~17mm、幅10~13mm程度です。
やんばるの森は、優占しているイタジイ(スダジイ)をはじめ、タブノキ、コバンモチ、カクレミノ、イスノキなど、本土の照葉樹林と共通の樹種が多い森です。日本のシイ林は、琉球列島にみられる亜熱帯性のシイ林と、九州から本州の福島県あたりにまでみられる暖温帯性のものに分けることが出来ると考えられています。やんばるの森に代表されるような亜熱帯性の森は、ヒカゲヘゴのような木性シダ類が生えている点、林床に生えるシダ類の種数が多い点、クワズイモなど背の高い草本が生育している点で、本土の森とは異なります。