ケナガネズミは、奄美大島、徳之島、沖縄本島に分布する固有種です。体の大きさが30cmほど、尻尾の長さも30cmほどあります。日本国内に分布する在来のネズミでは、最も体が大きいネズミです。地上で走り去る後ろ姿は、まるでウサギのようです。
背面は褐色で、”ケナガ”の名の通り、長い剛毛があります。写真でもわかるとおり、尻尾の半分ほどが白いのも特徴です。 尻尾にも短い毛が生えているようです。
樹洞に巣を作り、主に樹上で活動するようです。長い尻尾を枝に絡ませたり、まるでバランスをとるように枝上から垂らしたりするなど、樹上活動に大変役立っているように見えます。ただし地上での活動も多いようです。これまで目撃した個体の複数例で、夜間林道上に降りて活動している個体を見かけています。もたつきながら林道脇の木に登ると安心するのか、じっとして見下ろしている場合があります。林道から木へ登る際もけっして俊敏とは言えません。林道上に立っている私の目のをのっそり歩きながら、林道を横断した事例もあります。
樹上では、ギャー、ギャァーと鳴くことがあり、時々キーンと高い金属音のような音が混ざることもあります。複数個体を同時に目撃することも多く、2個体の群れの他、最大で6~7個体程度の群れに遭遇した事もあります。「日本の哺乳類 改訂版」(東海大学出版会 )には「産仔数は2~5頭」とあります。雌雄の親、その子と考えると、6~7個体の群れは家族かもしれません。