沖縄のカエル達の写真と鳴き声

ハナサキガエルの産卵

 カエル達がどんな生活史を送っているのか。やんばるの森で暮らすハナサキガエルの生活をちょっと紹介します。

ここから下がハナサキガエルの生活史 特に繁殖行動について
ハナサキガエルの生息する山地

生息場所

ハナサキガエルが暮らすのは、沖縄本島の北部である山原(やんばる)と呼ばれる地域です。大宜味村、東村、国頭村の森林が生息域です。 沖縄本島の中南部は低平な地形をしており、200m以下の低い丘陵からなります。それに比べやんばるは、沖縄島の最高峰である与那覇岳(海抜503m)を筆頭に、西銘岳(420.1m)、照首山(395.2m)、伊湯岳(446m)などの山が連なっています。海抜400m前後の山地が島の脊梁を形成し、それを丘陵が取り囲んでいます。ここに広がるイタジイ(スダジイ)を中心とした常緑広葉樹の森で、ハナサキガエルは暮らしています。


ハナサキガエルの生息する生息環境

産卵環境

やんばるの森の谷部は、ほとんどが小さい渓流となっています。この水の綺麗な渓流の源流部が、ハナサキガエルの生活の場となっています。豊かな、森の中を流れる渓流は、一年中水が枯れることはありません。
渓流の滝つぼや、深みのある淵などが産卵場所です。この滝壺の岩の下などに卵を産み付けます。


ハナサキガエルの成体

成体

ハナサキガエルは、体長5~7cm、手足が長くスマートなカエルです。「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物」(沖縄県)で絶滅危惧ⅠB類、第4次レッドリスト(環境省 2012年)で絶滅危惧種Ⅱ類に指定されています。このカエルの産卵期は、1月から2月頃です。毎年決まった滝壺や淵などの産卵場に、数日間だけ一斉にあつまり、集団で産卵します。1~2晩程度、足の踏み場もないほどのカエル達が集まります。

その他のハナサキガエル成体の写真はこちらにあります


繁殖地に集まって鳴き交わす雄の成体

産卵場に集団

このカエルの産卵期は、1月から2月頃です。毎年決まった滝壺や淵などの産卵場に、数日間だけ一斉にあつまり、集団で産卵します。1~2晩程度、足の踏み場もないほどのカエル達が集まります。
まず雄が産卵場の周囲で鳴き、雌を呼びます。ピ!ピ!ピョ!などと鳴きます。産卵場には足の踏み場のないほどのカエルが集まり、大変な騒ぎです。何を合図にカエル達が一斉に集まるのか、まだよくわかっていません。
鳴き声はこちらで聞くことができます。


抱接するハナサキガエル交接ペア

抱接(ほうせつ):雄と雌のペアリング

繁殖地に雌が現れると、雄が背中から抱きつき抱接ペアになります。 写真で、後ろから抱きついている小さい方が雄、背負っている大きな方が雌です。一般に雌が雄よりかなり大型です。
カエルは体外受精です。交尾ではなく、雄と雌が抱接ペアになって水中に産卵するのです。
雌はこのまま雄を背負ったまま水に入ります。そして岩の陰などに卵塊を産み付け、雄が精子をかけ受精させます。


オキナワイシカワガルに抱きついたハナサキガエルの雄

大混乱の繁殖地

多くの雄が集まる繁殖地では、何とか雌とペアになろうとして必死です。中には、たまたま通りかかった他のカエルに抱きついてしまう雄もいます。
写真は、オキナワイシカワガエルに抱きついたハナサキガエルの雄です。雄は大脳を除去されても、脊髄反射で抱接するそうです。こうなると、オキナワイシカワガエルはなかなか開放してもらえないかもしれませんね。


水中に入ったハナサキガエルのペアとスニーカーの雄たち

水中へ(群がる雄)

さて抱接ペアが産卵のために水の中に入ると、水中で待ちかまえている雄もいます。抱接ペアが産卵のため水中に移動すると、ペアになっていない雄が集まってきて、我先にと抱きます。脚で他の雄を蹴って、引き離そうとする雄もいます。雌をめぐって、激しい争いが繰り広げられるのです。
写真の真ん中に見えているのが雌です。多くの雄に抱きつかれて身動きが取れなくなっています。雄が激しく抱きついてくるので、産卵前に死んでしまう雌もいます。また水中に移動する前に、多くの雄に抱きつかれ、立ち往生している抱接ペアもいます。


水中の岩場に卵を産み付けるハナサキガエルのペア産卵行動

産み付けられた卵

自分の子孫を残すため、必死の争いが繰り広げられます。写真は、水中で産卵しているペアです。下側が雌、上が雄です。岩にお尻を押しつけるようにして、卵を産み付けていました。


産み付けられたハナサキガエルの卵

産み付けられた卵

水中の岩陰に、沢山の卵塊が産み付けてありました。クリーム色の卵が渓流の中でユラユラと揺れ、大変綺麗です。


水中で発生が進むハナサキガエルの卵塊らんかい

産み付けられた卵

産卵後、数日経った卵塊です。卵の発生がすすんでいました。渓流の水が綺麗なので、写真では水中である事がわかりにくいかもしれません。向かって右上に、ヤマトヌマエビが写っているので、水中である事が辛うじて実感できるか思います。


ふ化した直後のハナサキガエルの幼生孵化

幼生(オタマジャクシ)のふ化

ふ化したばかりの幼生です。全身クリーム色をしています。体色は、やがて褐色になっていきます。やんばるの、綺麗な渓流の中で成長していきます。


上陸直後のハナサキガエルの亜成体

上陸した幼体

オタマジャクシ(幼生)から変態し、上陸したばかりの幼体です。まだ尾が少し残っています。野外でのオタマジャクシ(幼生)の生活は不明な点が多いのですが、この上陸個体は産卵場近くで見かけたものです。産卵が行われた滝壺や淵などの周辺で、オタマジャクシ(幼生)も暮らしていると思われます。
写真のような体長1cmほどのサイズから、産卵に参加するサイズに成長するまでの、中間的なサイズのカエルを野外で見かける機会がほとんどありません。


ヒメハブに捕食されたハナサキガエルの雄プリデターpredator

待ち受けるヒメハブ

動きが鈍いヒメハブですが、待ち伏せで狩りを行います。ハナサキガエルなどの産卵場所に集まり、カエルを待ち伏せして捕食します。ハナサキガエルの産卵が近くなると、その気配を察知できるようで、カエルより先に産卵場へ移動して待ち受けています。ヒメハブは、たいへん賢い捕食者で、産卵行動に夢中になっているハナサキガエルを次から次へと捕らえて食べています。


地上徘徊制のクモに捕食されたハナサキガエルの雄成体

その他の天敵

ヒメハブ以外にも天敵が存在します。大型の地上徘徊性のクモであるオオハシリグモもその一つです。ハナサキガエルやリュウキュウアカガエルなど、渓流性のカエルを捕らえている姿を時々見かけます。